クリーチャーデザインにはパターンがある その1

クリーチャー

造形の世界では クリーチャー という言葉がよく使われます。

クリーチャーとは本来生き物という意味ですが、想像上の生き物という意味も含まれています。

造形の世界においてクリーチャー造形は人気のある大きなジャンルの一つになっています。

日本ではあまりクリーチャーが登場するエンターテインメントは少ないのですが、海外からの影響もありまだまだ少数的ですが人気が高いです。

 

想像上の生き物を作ることは基本的に特別な制約は無いと思っているのですが、一応生き物なのでその生態に伴った形を目指すとデザインが成立しやすいのではと感じます。

特殊造形の世界ではリアリティのあるキャラクターを作ることが多いので、どういう形がリアルなのか、何がリアルと認識させるのか日々模索しています。

 

今回はクリーチャーを造形する上でリアリティを基本とした作り方を考えていきたいと思います。

 

 

ベースとなる生物を選ぶ

世に発表されているリアリティのあるクリーチャーを観察していくと、そのほとんどがこの世界に存在している(いた)生き物からヒントを得て作られていることに気付きます。

それは、どの生物をベースにして作られているのか、骨格、パーツ、立ち姿などを見ると確認することが出来ます。

逆に何の生物なのか分からないもの、形も生物的ではない謎のものはあまり世に出ないことも分かります。

 

クリーチャー造形においてデザインの制約は確率されていませんが、やはり人が見たことのあるような形や知っている形が受け入れられやすいデザインに繋がるのだと考えています。

 

なのでまずはどの生き物の形をベースとして使用するのかを選ぶことから始まります。

よく映画などで登場するものは人型が多いですよね。

自分たちが人間というのもあり一番近い存在の(同生物ですが)生き物をベースにすることによって好感を持てたり、逆に恐怖心を抱かせやすかったりするのだと思います。

 

 

 

①ベースの生物に他の生物を融合させる

クリーチャー造形はいろんなジャンルがありますが、解りやすく大きなカテゴリーの2つに分けて考えていきます。

まずはベース生物とその他の生物を融合させるデザインです。

映画で登場する参考例として「アンダーワールド」のマーカスというキャラクターデザインはとても秀逸です。

ちなみにこのキャラクターはヴァンパイアものなので人間とコウモリの融合です。

造形を行ったのはクリーチャー造形で有名な Steve Wang氏。

発表された時は何度も何度も見返してデザインの格好良さを堪能していました(笑

 

仕事で造形をしない時は本来自由に楽しんで作ることが目的だと思います。

しかしある程度受け入れられるものを作るためには、融合させる生物の選択は完全に自由というわけではないと私は考えています。

 

どういうことかと言いますと、

 

それぞれの選択した生物を掛け合わせた時、お互いの特徴や機能などが上手く溶け合うのかどうかを確認する必要があるということです。

 

例えば人間がベースで、合わせるものが人間とは違う形や違う環境の生物だとします。

人間にその生物の形を取り込んでいく際、形としては格好良いものだったとしても機能しないパーツになってしまうと生物的に浅いデザインのクリーチャーになってしまいます。

 

ここでも、世に発表されている良いデザインのクリーチャーを観察していくと人型なら人型に合う生物との融合が多くあることが分かります。

 

たまに奇抜な融合デザインも見ますが強引なデザインであったり、好みの分かれるデザインになりがちです。

 

奇抜なものが全て良くないというわけではありませんが、クリーチャー知識がまだ少ない時に奇抜な生物を選択するのはかなりハードルの高いものになるかと思います。

 

奇抜なものはオリジナルデザインのこととも関連があります。

【1】彫刻が上達するオリジナリティの話

2018年4月2日

 

リアルなデザインが成立しやすい形を作るためにはその生物の特徴的な形とその生物が持つ機能面を合わせて考える必要があるということになります。

 

 

 

 

②ベースの生物の骨格を調整する

 

 

2番目は、ベースとなる生物の形を部分的に強調させたり、変化させたりしてデザインしていきます。

分かりやすい参考例としては宇宙人のグレイみたいなものが一般的だと思います。

クリーチャー

グレイもよく観察していくと人間の骨格を歪ませたり、一部を大きくしたり細くしたりと変化させたデザインということが分かります。

骨格の形を変化させるデザインは元の形が存在しているものなのでリアルなものが成立しやすくなります。

ベースとなる生物の骨格を理解していないと成立させることは難しいので元になっている生物の骨格も一緒に観察が必要です。

 

骨格の見方についてはこちら。

造形

造形において骨格と筋肉はどのように捉えていくのか

2018年6月3日

 

 

私が特殊造形の専門学校へ通っていた頃は、Jordu Schellというアメリカの造形師の作品を見てよく参考にさせてもらっていました。

Jordu氏の造形は個性的なデザインで人の骨格を変化させるデザインが多くあります。

どこをどう変えるとどういうふうな雰囲気の顔になるのかというのを自分でも作りながらよく学んでいました。

 

 

 

 

初めてクリーチャー造形をするときにはまずこの2種類の要素から考えていくと作りやすいのではと思います。

クリーチャーというのは想像物なのでデザインするにあたりどこかにリアリティを失う部分が出てきます。

その失われたところをどう良く見えるデザインにするのかが難しいポイントになります。

それは形の奥行きであったり、輪郭であったり、骨格の繋げ方であったりといろいろな要素を模索しながらデザインしていきます。

 

単純に格好良い形に関しては漫画や絵などからも沢山インスピレーションを得ることが出来ます。

リアルなものだけの情報収集ではなく関係のないものからでも良い形に繫がるヒントは得られるので、

普段目にしている何でもない形でもクリーチャー造形に取り入れられるという意識付けも大切なデザイン力になっていきます。

 

クリーチャー造形が秀逸であればあるほど頭に情報としていろいろな形のアイデアが入っています。

アイデアやバリエーションが足りなくて上手く造形出来ない場合は簡単に「才能が無い」と思ってしまうのではなく、

クリーチャーを作るための材料が単純にまだ足りていないということなので、

まずは沢山の良いデザインを見るというところから始めると良いと考えます。

 

ではこの辺りで、、、その2に続きます。

 

それでは! ーGoushiー

クリーチャー

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