資料は時に手を動かすよりも大事なもの

人など生物をリアルに 彫刻 していくときの重要な観察ポイントは形が変化しているところを見つけていくことにあります。

形が変化しているところは光の当たり方にも必ず違いが出ます。

形に変化が少ないほど光と影のコントラストは少なく、変化が大きいほどコントラストは強くなっていきます。

その対象からどれだけの形の変化を見つけて写し取っていけるかが良いものを作るポイントになります。

 

 

資料集めの注意点

観察力を養うためには形の変化を見分けていくトレーニングが必要になります。

方法としては実際に目の前で見て模刻していくというのが一番良いです。

しかし、誰もが実際の人の顔や様々な人種を身近で観察するということは難しいと思います。

おそらくインターネットや本等で集めた資料(目指している対象)を観察していくのが一般的ですよね。

そしてここで集めた資料を見て作っていくわけですが、このような間接的な資料は加工してあったり、解像度が低かったりと形が見えづらい部分が多くあります。

なので、資料はパーツ以外の形もわかるものを探すことが正確な形を作る上で非常に大切になります。

 

例えばこちらの写真。

一見良い資料に見えるのですがパーツ以外のところに注目すると、

陰影の差がほとんど無く全体的に光が当たって、もしくは加工されて綺麗に見えるように撮影されています。

パーツや雰囲気を見る資料としては良いものですが頬や額など中間的な凹凸を見分けることは非常に困難です。

もしこういう資料だけで彫刻をし続けても写真自体に読み取る形が写っていないのでいつまでもリアルな表現が作れないということになります。

こういった写真からは肌のリアルな凹凸は観察出来ないので注意が必要です。

 

 

添付した写真はフリー素材なのでまだ良い方の資料に入りますが、普通に検索で見つける写真はもっと質が落ちます。

携帯の写メ、近距離で撮影した写真なども写りが歪むためしっかりと見極めてから資料にする必要があります。

 

 

 

肌の陰影に注目する

資料を探す際は肌の陰影がよく写っているものを集めていくのがポイントになります。

 

写真自体は綺麗に撮影されていますが、この女性の顔の形がよく見えるように写しています。

ライティングを使っての撮影は光の当て具合で形が見え隠れするので、写真によってどういうふうに撮影されたものなのか想像しながら資料を見ていくようにしなければいけません。

この写真は写りが良く、頬もどこが一番前に出ていて、どこが凹みになっていくのかがとても分かりやすい資料です。

 

 

こちらはスタジオ撮りではなく外で撮影されたものです。

ライティングは使っているかもしれませんが陰影が自然で分かりやすい良い資料ですね。

 

 

こちらはコントラストが強すぎますがおでこの陰影がはっきり見えていて良いです。

肌のリアリティを追求していくときはこのような細かい陰影を見つけていくことが大事になります。

 

 

 

目的別の資料

彫刻をする際にはいろいろな種類の資料が必要になります。

 

◉目指す表情、雰囲気

◉輪郭

◉肌の凹凸

◉ディテール

◉距離間の異なるもの …..etc

 

共通する部分もありますが、集めた資料がどの目的にあったものなのか確認しながら進めていくことでクオリティのアップにも繋がっていきます。

 

 

 

最後に、

彫刻はいつまで経っても資料と共に作業を進めていくものだと思っています。

資料を見ないということは今までの自分の中にある材料だけで進めることになりますので、それでは技術向上が遅れてしまいます。

特に彫刻を始めたばかりの頃はまだ正解の形がインプット出来ていない状態なのでなおさら資料が必要不可欠なものになります。

 

資料は彫刻作業の道標となりますので、手を動かす作業ばかりに集中しすぎるのではなく、資料にある情報を上手く取り入れながら作っていくことが大切になっていくのです。

 

 

それでは! ーGoushiー