年に一度ロサンゼルスで開催されている「 IMATS (アイマッツ)インターナショナル メイクアップアーティスト トレードショー(以下省略でIMATS)」というイベントがあります。
IMATSとはビューティメイクと特殊メイク業界のイベントであり、各関係業者がブースを出し商品販売や商品を使ってのデモンストレーションを行う場です。
その他にも学生向けのメイクコンテスト等もあり、今まで日本からも多数出場しています。
IMATSは数少ない業界交流の場になりますので有名なアーティストに会える貴重なイベントです。
近年はビューティメイクが増え、特殊メイクの割合は少なくなってきているようです。
今回は2011年に開催されたIMATSのことについてお話していきたいと思います。
毎年ブース出店している有名な材料屋さんのPPIという会社があります。
そのブースで商品を使用してのデモンストレーションをする機会がありました。
日本人がデモンストレーションを依頼されるのは珍しいのでここは日本人ならではの風合いでデザインをすることになりました。
当日は社長のメイクアシスタントとして参加しました。

この作品は「ロボ芸者」と「祈り」をテーマにしています。
ロボ芸者メイクはIMATSのポスター(トップ画像にて)としても使用して頂き嬉しかったですね。
制作工程写真が少なめですが撮っていたメイキング写真を紹介していきます。
まずはベースデザインをJIRO社長が描き起こし、社内スタッフの意見も取り入れながら作っていきました。
JIRO社長の描いたデザイン画を載せたかったのですが現在紛失中です・・・見つかり次第アップしておきます。
代わりに私が描いたものを載せておきます。

ちょっとダークすぎましたね・・・
当初自分は花魁をテーマにデザインしていました。

モデルさんの顔型にNSP粘土で彫刻されたものです。
そしてヘルメットの方、

こちらもモデルさんの顔型の上に水粘土で彫刻です。
左右対称のデザインだったのでなかなか手間取りました。
下に散らばっている粘土は見なかったことに〜笑 左右対称との戦いの果てです。
そして工程が飛びますが、おでこにデザインされた和風レリーフを追加します。

この白い素材はシリコンで出来ていてテスト用に成形したものです。
このメイクピースは3つに分かれていて、おでこレリーフ、顔中心部、顎部分と別々に貼っていきます。
ヘルメットの方もFRPという素材で成形されてきました。

メイクピースとヘルメットのバランスや被る深さなどを見ながら調整しています。
次は塗装に入っていきます。

サランラップが・・・
ヘルメットはホワイトベースにパールホワイトを重ね高級感を表現しています。
黒いラインは今回ラインテープを使用しています。

頭の両端には日本をイメージする日の丸がデザインされています。
ここはスイッチを入れると光るように電飾を組み込んであります。
遊びでサイド部分の黒いパーツにも梵字を入れてみました。
マットブラックの中にグロスブラックで塗装していますので、パッと見は目立たないのですが光が当たると見えるようになります。
芸者がテーマなので「かんざし」も飾りとして追加しました。
そして制作物も準備が終わり、3名のスタッフと衣装制作チームでロサンゼルスへ向かいます。

滞在先はグレンデールという街のホテル。

ホテルの一室に集まり本番の前夜も最終作業です!
ロスに来た時は夜に毎度何かしらの作業をしてる記憶があります笑

衣装チームが制作した衣装です。
生地も高級感がありカッコ良いです。
そして当日です。

頭にボールドキャップという髪の毛を隠すものを被ります。
まずは顎パーツから貼っていきます。

次に顔のパーツです。
特殊メイクはこの貼り付け作業が難しい部分です。
シリコン素材なので形が伸びないように慎重に貼っていきます。

特殊メイク用の接着剤を使い筆で細かいところを貼っています。

おでこのパーツも貼り、それぞれの塗装に入ります。

一通り顔の塗装が終わったところで、、、

衣装を着てもらいます。

次に、ヘルメットを被せます。
顔とのバランスを見ながら固定していきます。

ヘルメットの頭頂には真鍮をレーザーカットしたものを立て、芸者のイメージにも合わせます。

そして最後に全体のカラーバランスも整えて完成です!

モデルの女性は音珠シンガーの一井優希さん、シンガーやボイスヨガなど声のお仕事で活躍されています。
メイク終了後、優希さんの歌のパフォーマンスと組み合わさり会場はさらに盛り上がりました。
当日のメイク動画もアップされているので紹介させて頂きます。

頭の後ろの下で光っているブースターはガンプラです笑 これも日本風要素ということで。
こういうデモンストレーションの楽しいところは自由にデザイン出来るところであります!
また機会があればどんどんやっていきたいですね。
以上長くなりましたが、「ロボ芸者」メイキングでした。
それではまた! ーGoushiー