造形や粘土彫刻には美的センスなど特別な才能が無いとレベルアップ出来ないのではと悩んではいませんか?
私が彫刻を始めた頃は常に頭から離れないキーワードでした。
当初は自分にも少なからず才能があるはずという思いと、
もし無かったらどうしようという思いが葛藤しながら、
がむしゃらに練習をする日々を過ごした時期がありました。
トップを走る人たちの中には一般的に認識する天性の美的センスを持って活躍されている方が多く存在します。
その天性の才能を目の当たりにするとよくネガティブになり諦めモードが襲ってくることもあると思います。
その逆の方もいると思いますが、私は当初完全に前者のタイプでありました。
しかし経験を重ねるにつれて分かることは、
それが自分の生き甲斐と感じるのであれば、無駄に気にする必要は無いという事です。
一人一人違う個性(特性)があるように、その人にしか出来ない事を探すべきだと感じられるようになりました。
たとえ同じような目標の先に強敵がいたとしても、
さらに細かく目標を分散させることで活躍の場を作ることが出来ます。
もちろんこれは造形以外にも共通することですよね。
ただそうは言っても絶対的に必要な身に付けないといけない部分があります。
その要素を無くしてはレベルアップは不可能であると確信しています。
絶対的に必要な基本要素 + 唯一無二の個性の掛け合わせで勝負をしていくという形で取り組む事を心掛けています。
絶対的な基本要素 目標物の基本形
絶対的な基本要素というのはその要素無くして上手に作ることが出来ない必要不可欠な知識や技術です。
料理で例えるなら、その材料無くしてその料理にはならないといった感じです。
料理の場合は日常生活におけることなので基本知識やちょっとした技術はほとんどの人が知っています。
粘土彫刻や美術的なことになると、
一気に基本知識や技術力といったことが無知の状態から始まるので難易度が高くなってしまいます。
ですが、この基本要素の部分は努力と経験次第で誰もが身に付けられるものであると現在は思っています。
ただ、人により成長スピードが違うといったことが問題点の一つではあります。
この辺りが世間で言う「向いていない」と認識されるものではないでしょうか。
もし向いていない状況の場合、センスというものだけではなく、
考え方やメンタル面、勉強の仕方、向き合い方など他の要因の方が足りていないこともよくあったりします。
その場合には自分よりレベルが上の人に師事するといった方法や、
本当に全身で集中して向き合えているかどうか自分を見つめ直すことも必要になってきます。
受注的な仕事においては基本形を使用する割合の方が格段に多く、
その形をマスターするだけでも十分な武器として活躍していくことが出来ます。
こちらの内容ともリンクしていますので合わせてご覧下さい。
個性 プラスαの武器
個性はこの場合かなりざっくりした表現で使っていますが、
その人の得意な技術やデザイン、好きなスタイルを表しています。
多くの場合個性の部分はパッと見目立つので印象に残りやすく、
格好良いと思わせてくれる大きな要素になります。
なので個性的表現はその人特有の美術的センスが一番強く現れる部分であると思います。
しかし個性表現に頼りすぎてしまうと基本要素の一つである形の説得力が失われてしまうので注意が必要です。
造形、彫刻を勉強する時まずはお手本となるものを参考にするかと思います。
その際そのお手本にある個性が自分にとってプラスになるかどうかも見極めることも大切です。
そのまま吸収してしまっては二番煎じになってしまいます。
圧倒的なデザインの造形や彫刻物を目にした時、
どこまでが基本要素なのか、そして個性が発揮されている形はどこなのかをまず分析していきます。
そうすることで上手に造形していくためのエッセンスやテクニック、構造などが分かりやすくなっていきます。
構造を読み取る事で今まで圧倒的で手が届かないと思えていた部分が実は基本要素の部分であるという場合もあるのです。
基本要素は誰でも身に付けることが出来ます。
個性表現は何かを作る上で楽しさやモチベーションの源泉でもあるため、無意識に表現してしまいがちになります。
私も当初は思いこみのこだわりが強く、個性表現が8割くらいを占める形をよく作ってはレベルアップに苦戦していました。
多くの場合、この基本要素が足りず個性が生きて来ずせっかくの美的センスが良く見せられないという事がよく見受けられます。
基本要素である形は個性表現やその他表現の前段階において必然的レイヤーであり、とても大事な土台となっていきます。
そのため造形、粘土彫刻を行う場合は率先してまず身に付けるべきは第一の武器になる「基本要素」だと感じています。
第一の武器を身に付けてようやく第二の武器である個性が最大限に発揮されていくものなのです。
第二の武器であるこの個性表現を使いこなすことは本当に難しい事です。
人それぞれに違う感覚が存在していて、さらにその中から上手く活かせるものをいかに発掘出来るかどうか。
発掘した後もその個性をどう発揮していくのかというのもさらなる難問です。
現在私も試行錯誤中です。
何とか生きている間に1作品でも良いので形にしたいと目標にしています。
ゆえに個性の要素というのは一般的に、表面上特別な美的センスだと思われがちであると思います。
ですが順序立ててクリアしていく事で、一気に押し寄せる勉強しないといけない事柄を効率的にこなすことで、
コツの掴み方やレベルアップをスピーディーに行うことも出来るのです。
天才的な作品においてもそこには形を良く魅せるロジックがありますので、
それを出来るだけ分析して読み解くことが次のステップに活かす一番早い方法でもあります。
(稀に本当に説明が付けられない凄い才能もありますが。)
最後に、
好きでやりたい事でも本当に向いていなかったという現実も中には存在します。
粘土彫刻の場合は特に習得に時間がかかってしまうものなので諦めてしまう方も多い分野です。
その中の多くは単に勉強不足や情熱不足という原因もありますが、
勉強の仕方を変えるだけで一気にレベルアップすることも可能だと実感しています。
ポシティブな諦めも時には大事ですが、有効的な方法を試さないうちに「向いていない」と判断するのは少し早いのではと思っています。
次回は手っ取り早く粘土彫刻を最短で学ぶ方法を書いていきたいと思います。
美術的なセンスについての記事もありますので一緒にお試し下さい。
それでは良い造形ライフを! ーGoushiー
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