特殊造形ではたくさんの材料があり、その素材ごとの形状や物性などをどう工夫して形にしていくのかを考えながらイメージし作り上げていく作業になります。
特に、造形物から型を作ることを前提とした場合、完成した形だけを見ていては気づけないことがあります。今は問題なく見えている形が、次の工程では大きな問題になることもあります。
逆に、少し形を変えるだけでその後の作業が驚くほど容易になることもあります。
だからこそ、どこの段階からの造形でも「この先のこと」を考えることが重要になります。
形を作るだけではなく、その形がどのように扱われ、どのように次の工程へ渡っていくのかをイメージする。
目の前の造形だけに捉われず、その先にある工程まで含めて形を見る。
今回は、そんな「造形洞察力」という呼び方に決めて考えてみたいと思います。
漫画ハンター×ハンターの中で登場する概念として「戦闘思考力」というものがありました。
これは戦闘中における場の把握や次なる行動をどうするのか等瞬時に洞察するような思考です。
こうやって言葉として定義をすることで意識付けがしやすいのではと考え、造形界にも一般化すると良いなとこうして書いています。
造形の技術指導は今でもまだまだ雰囲気やセンスなどで片付けられることが多いので、
「造形洞察力を行うという行動の存在を知る」だけでも新しい気づきが生まれると思っています。
もちろん造形が何故か上手い人はこの造形洞察力が自動的に動いているものと考えます。
造形界、そういった人しか生き残れないというのも違うと思っています。
いろんな習得パターンがあるように、何かの閃きに繋がれば嬉しいです。
型取りにおける洞察
型取りは、原型制作が終わった後に始まる別の作業だと思われがちです。
しかし実際には造形の段階からすでに型取りの構想は始まっています。
どこにアンダーカットがあるのか、この形はどの方向から抜けるのか、型を分割するとしたら、どこが適しているのか、どうやって成形するのか・・・など。
そういったことを考えながら形を作ることで、原型制作と型取りは別々の工程ではなく、一つの流れとしてつながっていきます。
もちろん、型取りを優先するあまり、原型制作の形を妥協する必要はありません。
大切なのは作りたい形を維持しながら、その形が後の工程でどのように扱われるのかを予測することです。
「どう作るか」だけではなく、「どう型にするか」まで考えて形を決めていくとより良い結果に繋がります。
今作っている形が、この先の工程でどのような状態になるのかを想像できれば、現段階の造形で気づけることが増えていきます。
造形洞察力とは、問題を解決する力だけではなくまだ起きていない問題を予測するアンテナでもあるのだと思います。
型取りを行うときに最も注意するアンダーカットもその一つです。
「この形は作れるか」だけではなく、「この形は型にできるか」「型にしたときに抜けるか」まで考える
私は「造形洞察力」というものは、単なる観察力や技術力とは少し違ったものとして捉えています。
「問題が起きてから対処するのではなく、問題が起きる前に気づく一つの作業である」と考えています。
造形洞察力 = ネガティブ質な一面が有利に働く?
造形洞察力は基本的には作業がスムーズに進むようにするための思考作業の一つです。
主に、
「問題が起きた際の対処、判断」
「問題が起きないための事前処理、確認作業」
この2種類に大きく分類されるかと思います。
どちらも大きくはある程度の経験値が無いとこなせない事ではありますが、
後者の方は経験則以外にその人の性格、性質によっても違ってくるのではと感じています。
それは、「神経質」や「心配性」といった日常生活では度合いによっては生きづらいネガティブな一面です。
「ここ、ちょっと気になるな」
「このままで本当に大丈夫かな?」
「後で問題にならないだろうか?」
「もう一度確認しておこう」
私もガッツリこのタイプで、上記の項目は日々ありどれも精神的ストレスになることがあります。
言い換えると、思慮深い、危機管理能力の高さとも捉えられますが笑
造形では、これが非常に有効に働くことがあると実感します。
このネガティブな面を「問題が起きる可能性を予測し、違和感や小さな異常に気づける力」とするならば、
アンダーカットを見つける
型が抜けにくそうな部分に気づく
粘土の厚みが少し気になる
左右の形のわずかな違いに気づく
このまま進めると後の工程で問題になりそうだと感じる、、、等
こうした「まだ問題にはなっていない小さな違和感」を拾えることが造形では非常に有利になります。
実際に特殊造形の仕事は全く同じものを作ることはほとんど無いので毎回先の予測をイメージすることばかりです。
性格でのことでその他に「面倒くさがり」というネガティブ面も造形には大いに有効です。
造形作業は地道で丁寧な作業も一見必要ではあるのですが、全ての工程をそうしないといけないわけではありません。
ここで「面倒くさがり」という性質が役に立つことがあります。
面倒くさいと思うことによって他に楽な方法はないかという思考になり、
それがより良い方法のアイデアを生むことは多くあります。
こういった性格による自動的な行動や思考は「これらの仕組みを知る」ことで
造形洞察力というものを高められる可能性があるのではと考えています。
仕組みを知れば、意識することが始まり、思考や洞察を意図的に行うことによって実際の作業をスムーズに出来るという感じです。
ちなみに私が経験した洞察作業をしても失敗してしまった造形は、
人よりサイズが大きいものと、10キロを超える造形物です。
普段扱うものよりも大きく特に重いものは普段の物理感覚が役に立たないことが多く、これだけは幾らかの経験則が頼りになってきます。
なのでそんなときはいつもより、さらに、心配性を悪化させて失敗も覚悟に入れて造形に挑みます(笑)
最後に、、、
洞察して違和感を見つけても、経験値の低さやその環境の影響によってその違和感を信じれなくなったり、放置したりと判断を誤る場合もあります。
自分で気になった違和感、気づきはその人自体の上達への鍵になる大事な感覚でもあるので見過ごさずに常にクリアしていくのが良いと考えています。
それでは、皆さん良い造形ライフを! ーGoushiー






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