特殊メイクアーティストの仕事はメイクだけじゃない!?

特殊メイク

特殊メイク という仕事はどんなイメージをお持ちですか?

一般的に世に出る特殊メイクの世界は映画等の俳優さんに行うメイクアップが主な仕事と思われるのではないでしょうか。

実は特殊メイクというのは特殊造形の技術の中の一部でもあり、メイクアップを行う工程はいろんな作業の中の一部なのです。

テレビや本などでは「特殊メイク」というワードが先に有名になっているため現場でのメイクアップのイメージが強く、メイクアップ以外の作業工程はあまり知る機会が無いですよね。

ここでは特殊メイクアーティストとは実際にどんな仕事なのか、お話していきたいと思います。

 

 

特殊メイクアーティストの仕事内容

まずは特殊メイクアーティストと表記するとメイクアップのイメージが強くなりますので、

総称して「特殊造形 Special Effects(スペシャルエフェクツ)」と表記します。この言葉の意味は特殊効果、特撮、SFXといった特殊な技術を使った撮影方法のことです。

日本での呼び名は特殊メイク・造形制作や造形屋など呼んだりしますがあまり定まっていないように感じます。

特殊メイクを扱っているかどうかでも受ける仕事の内容に違いがあるようにも思います。

仮面ライダーやウルトラマン、ゴジラ等のアクタースーツも特殊造形になります。

 

特殊造形の仕事は一言では説明が難しいくらいに内容が様々です。

基本的には工作技術の延長でありいろんな材料を使って何でも作る仕事なのです。

言わば「困った時の何でも制作屋」です。

 

もともとは映画など映像の世界での技術でしたが今では様々な分野に応用して活躍しています。

なので現在は特殊メイク=映画だけではありません。

特殊造形の世界はジャンルレスに多様なものに対応できる技術になりました。

 

では具体的にどういったことを日々行っているのかをみていきます。

 

 

デザインを決める

特殊造形の仕事は基本的に受注制作になりますのでクライアントの要望をしっかりと頭に入れ

イメージを絵などの平面図に起こします。 この時点で立体造形に起こした際の相違点や実現可能であるかなどを洗い出し

クライアントと共有、方向性を決定します。

 

原型制作

原型制作とは簡単に言うと初めに形づくる作業のことです。

形を作るための材料は粘土、ワックス、発泡スチロール、既製品の組み合わせ等様々です。

近年3Dプリンターの技術が発展してきているのでデジタル原型というのも加わってきています。

原型制作は特殊造形の仕事においてとても重要な工程になります。

 

特殊メイクを行う場合は粘土で形を作っていきます。

原型制作で必要なことは何でも形に出来る「彫刻技術」です。そして特殊メイクのモチーフとなるものは現実に存在している生物から

形を真似て作りますので「観察力」も重要なポイントになってきます。

ここで作った形が最終的な見た目になってきますのでかなり神経質に彫刻していきます。

 

型取り

出来上がった原型を型取りしていく作業になります。

型取り材料も様々で主にシリコン、樹脂、石膏などを使って型を作っていきます。

 

成形

作った型に目的に応じた素材を流していきます。

素材は主に樹脂、シリコン、ラバー、ウレタンなどですが、他にも物凄い数の素材があります。

未発見の素材も多いので可能性はまだまだ存在します。

特殊メイクに使う材料はラバー素材(メイクスポンジのようなもの)、シリコンが一般的です。

 

塗装

成形された造形物やマスクに色を塗っていく工程です。特殊メイクの場合はメイクアップの際に塗る場合も多いです。

塗料はアクリル性、油性、車用の強いウレタン塗料、特殊メイクにはボディペインティング用、舞台化粧ドーランなどを使用し、

筆、エアブラシなどここでもいろんなものを使って塗装していきます。

この工程もかなり重要な部分です、特に特殊メイクは実際に見てリアルに存在するキャラクターを作り出すことが多いので

本物の肌の色、色むら、陰影など塗装工程も技術力が必要になります。

 

メイクアップ

メイクをする仕事場は国内外問わずいろんなところで行います。

映像作品の場合ロケ地によって決まりますので行ったことがない場所に行けるのは面白いですね。

一度ドイツが現場だったことがあり滞在は1週間くらい、1日ごとに別の都市を回って現場を変えての仕事もありました。

普段なかなか行けないところだったりすると気分も上がります。

 

現場での仕事はメイクを施してからメイクを綺麗に落とすまでが仕事です。撮影の合間はメイクくずれが無いか小まめにチェックし

ます。

 

直付け造形(ウレタン造形)

直付け造形とは上記の原型制作とその後の型取りを行わずに、

最終的に使用する素材で直接形を作り上げていく工作技術です。

なので量産などが出来ないので基本一点物制作になります。

よく使われるものはライオンボードやウレタンシート、ポリエチシート、布生地など切ったり貼ったりで,

形を作りやすい材料で制作していきます。

日本では特撮物や特殊スーツ、小道具、着ぐるみによく使用します。

 

デジタル造形

PC上で作った形を3Dプリンターや切削機などを使い立体に起こします。

対象をスキャンし、サイズ変更や別の素材に置き換えることも可能になったのでさらに可能性の幅が広がっています。

 

工作造形、仕掛け制作

ホームセンターで売っているものや機械部品、木材、金属、既製品など全てを加工利用し目的の形に作り変えたりもします。

 

メカニカル造形

造形物を可動させる技術です。ラジコンモーターや金属加工、電子部品などを活用して制作します。

この分野は業界の中でも扱っているところは少なく特殊です。

 

 

 

 

如何だったでしょうか?

特殊メイクアーティストの仕事は本当に幅広くいろんな相談案件があるのがわかります。

なかにはこれはどうやって作れば良いのか? と難解な依頼がありますが特殊造形の技術は

多様な技術を駆使して難しいイメージの案件も形に起こす事が可能になります。

 

これだけの種類の技術がありますのでもちろん個人だけでは全て行うのは難しくなってきます。

会社によっては3、4種類の技術に特化して専門的にやっているところがほとんどだと思います。

海外の場合だとさらに細かいセクションに分けてそれぞれを分業で作業していたりします。

 

特殊造形の仕事を目指そうと思う方はどの分野が好きなのか、実際の作業はどのようなものなのかを知っておく必要がありますね。もし不明な部分などありましたらコメントやメールでもご返答します。

 

それでは!  ーGoushiー

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