特殊メイク とは顔や体に人工皮膚マスクを貼り付け、変身させる技術です。
この人工皮膚を作ることが作業の中心になってきます。
英語表記では「Special effects make up」、「Special make up」、「Prosthetic make up」などいろいろ呼び方があります。
まずは特殊メイクの工程をざっと説明していきます。
特殊メイク用 人工皮膚が出来るまでの工程
1 モデルさんの型取り
特殊メイクをするにあたり対象の顔の形が必要になりますので、
専用の材料を使って型取りをしていきます。
一見苦しそうに見えますが呼吸はしっかり出来るように対策されてますのでご安心を。
型取ったものの中に石膏を流していきます。
すると、このような石膏製のライフマスクと言われるものが出来上がります。
2 粘土で彫刻
ライフマスクに専用の粘土で目標の形に彫刻します。
肌の凹凸や皮膚感なども表現していきます。
この工程こそが特殊メイクの最重要項目です!
ここでキャラクターの形が決まるので、
一番難しい工程でもあり、一番やり甲斐のある楽しい工程です。
3 彫刻の型取り
出来上がった彫刻を型取ります。
4 成形
型に人工皮膚となる材料を流し込みます。
これは目標となるキャラクターによって材料が変わります。
5 メイクアップ
この段階でようやく皆さんがイメージする特殊メイクを施す作業に入るのです。
ちなみにこの人工皮膚を作るまでで1週間〜、デザインによっては4週間ほどかかります。
当日のメイクを施すのに2時間〜、全身だと5時間以上かかった経験もあります。
何故こんなに時間かかるの? とよく質問があります。
人工皮膚を作る工程はわかるとして、メイクはどういうこと? ですよね。
では続いて、特殊メイクの工程も解説していきます!
特殊メイクアップの工程
① ボールドキャップを貼る 15分〜
モデルさんの髪の毛をカバーする、肌色の水泳帽のようなものです。
キャラクターによっては不要な場合あります。
②人工皮膚を貼っていく 1時間〜
この作業がなかなか難しいのです。人工皮膚は素材により薄くて柔らかいものや硬めのものも
あったりと様々です。特に薄い、柔らかいものになると貼り付けが非常に難しくなってきます。
そして人工皮膚の数や面積によってかかる時間もバラバラです。
1時間というのは頭〜首までとしています。
③ リアルペイント 1時間〜
貼った人工皮膚は目標のキャラクターよりも色が薄い状態で作ってありますので
ここで特殊メイク用塗料を使いリアルなペイントをしていきます。
ペイントもキャラクターによって様々ですね。
④ ヘアスタイリングと衣装 40分〜
キャラクターにあったウィッグをつけたりご本人の髪を活かしたりしてスタイリングします。
最後に衣装を着て完了になります。
以上の工程を踏んだ上で特殊メイクが完成します。
想像するとなかなかの作業量ですよね。
例えると、一枚の絵の作品を数時間で描き終えないといけないのです。
ではここで特殊メイクの参考例をご紹介します。
まずはゾンビです。
こちらのメイクはフォームレイテックスというレイテックス製の人工皮膚を使っています。
日本では何故かゾンビの需要がたくさんあり毎年安定してお仕事頂いております(笑
ゾンビは作るのが楽しいのでさらに盛り上がってほしいですね!
次は動物と人間の融合生物メイクです。
⚪︎ッキー⚪︎ウス・・・。
いくら仮装期間でも入場は無理ですね〜。
特殊メイクと聞いてやはりホラーなものを想像しますよね?
日本の特殊メイク認知はホラー映画のイメージが原型ではないかと思います。
確かに実際特殊メイクでは怖いイメージのものが多いです。
ですが特殊メイクはホラーを表現するものだけはありません。
こちらのようなビューティなイメージのものも可能です。
さらには映画だけではなく舞台やショーなどにも活躍します。
能×ヘアショーというコンセプトでの特殊メイクです。
能では普通表情が動かないお面ですが特殊メイクで表現すると
右写真のように驚きのパフォーマンスを追加することが可能になります。
最後に特殊メイク技術の最高峰(と思ってます)老化メイクです。
これはシリコンで出来た人工皮膚を使っています。
特殊メイクでは実は現実に存在するものを作るというのが一番難しい技術になります。
存在するものの形は全てに意味がありロジックがしっかり通っているので、
作る際もそれを理解した上で作らないと上手くいきません。
難しいメイクでありますが、私の中では老化メイクは一番楽しいジャンルです。
と、ざっと説明してきましたが細かいところは飛ばしております。
最後にまとめておきたいと思います。
特殊メイクとは
・キャラクター(アニメ、ホラー、モンスターなど)に変身できる
・別人(性別、老化など)に変身できる
・顔以外にも出来るのでアイデア次第でいろいろと応用できる
映画、テレビ、CMなどで以外と気づかないところでも特殊メイクが使われていたりします。
映像作品を見るときは目を凝らして探してみてくださいね!
それでは! ーGoushi−