自分に向いている3つの造形タイプを知る

ボーダーレスな特殊造形の世界で生きていくには自分に向いている造形タイプを知ることも大切です。

これまで業界の有名な方々にお会いしてきましたが、技術力が高ければ高いほど自分に向いている分野が恐ろしく特化されています。

特に本場ハリウッド等では全ての作業工程にそれぞれのプロフェッショナルがいて全てを分担して仕事をしています。

日本では業態の違いもあり海外ほど分業は少ないのですが、それでもその中で得意分野が見い出せると技術の向上に大幅に繋がります。

 

特殊造形を作るために粘土彫刻を扱う上で一般的に見る特殊造形の分野では3つの王道タイプがあります。

これは始めるきっかけになったり、憧れが強い人気のある分野とも言えます。

それでは早速それぞれのタイプを解説していきたいと思います。

 

 

造形タイプ1 リアリティ追求型

リアリティの追求とは現実に存在するものをよく観察して構造を理解し、表面上の細かな凹凸もしっかりと写し取っていくことです。

特殊造形ではよくリアルな等身大フィギュアやリアルな特殊メイク、もしくは動物や昆虫などの対象をいろんな角度からよく観察して制作していきます。

リアリティ追求型の場合、あまりオリジナリティを表に出してしまうと想像上のものになってしまうのでいかに個性を抑えるかがポイントになってきます。

言うなれば対象にも個性的な形があるのでそれに自分が合わせるように相手の個性を追っていくといった感じです。

なので自分の個性は優先的ではありません。

極端ではありますが同じレベルのプロフェッショナルが同じ対象を作った場合同じものが出来るということです。

 

等身大フィギュア リアルマネキン

 

リアルなメイクが活躍する映画といえば最新の「ウィンストン・チャーチル」は素晴らしかったです。まさにリアリティの極み、ストーリーも楽しめますが特殊メイク技術も必見の価値があります。

他にも、「マッドファットワイフ」に「もしも昨日が選べたら」、普通に観ていたら特殊メイクに気付かないくらい馴染んでいます。ギャグも面白いです。

 

 

造形タイプ2 想像デザイン型

このタイプは一番人気があるのではないかと思います。

いわゆるファンタジーですね。

想像の世界なので好きなように形を作ることが出来ます。

特殊造形ではよくクリーチャーと呼ばれ、有名なのではエイリアンやプレデター、ヴァンパイア等です。

この想像型はよく何でも自由に作れると思われがちなのですがそこにはある程度のボーダーラインのようなものがあります。

それは、いくらファンタジーでも形に説得力が無いと良いものには見えないので、追求とまではいかなくてもやはりリアリティ型のベース技術も必要になってくるのです。

なので想像型というのは実際に存在している生物同士や、想像した要素を組み合わせていくというものです。

これは世に出ているクリーチャーを見ていくと必ず実際の生物のベースがあることに気が付きます。

 

人間 × コウモリ

 

 

想像型は生物知識も必要ですが、少しリアリティから離れたとしても迫力や勢い、格好良さ等の形を追求することも大切になります。

海外のファンタジーイラストや漫画、アメコミ表現等からもその技術は参考になりますね。

 

ファンタジーキャラクターが活躍する映画はたくさんありますよね。

私は「ヘルボーイ」「ブレイド2」が特に好きです。

最近では「シェイプオブウォーター」の半魚人が公開されましたね、デザインが奇抜で新しいものでした。

世に出ている魚系デザインは本当に少ないのでとても参考になりますね!

SNSでメイキングが公開されているので要チェックです。

 

 

造形タイプ3 独創型

このタイプは独自の世界観でデザインする超個性派で、まさに芸術家です。

受注仕事ではあまり活用出来ないのですがブランドを確立した場合強いタイプになっていきます。

絵画の場合では抽象画がそれに当たると思います。

業界ではほとんどおらず大半がリアリティと想像に分かれます。

特殊造形は主にキャラクターに関するものを作ることが多いのですが、独創型は独自の世界観を作る抽象表現アートです。

 

 

 

如何だったでしょうか?

3つの造形タイプと書きましたが仕事に活用するにはそれなりのリアリティの追求は必要になってきます。

ちなみに私は「想像デザイン型」です。

幼い頃から漫画やファンタジーイラストが好きだったことや、映画「ブレイド2」のヴァンパイアには当時衝撃を受けました。

初めは想像した形を作ることで頭がいっぱいでしたがリアリティが勉強不足だったためなかなか進歩しない時期がありました。

そうなった時リアリティの研究が必然だと頭が切り替わり、その後レベルがぐっと上がったのを実感しました。

何でもそうですがこの必然ということを体験することが次へ進む一歩でもあります。

その必然を感じるには今やろうとしていることを全てやり切ってみるということが大切です。

 

 

最後に、

美術、芸術という分野で仕事として活躍するには技術力とは別に精神面でも重要なことがあります。

業界で活躍している方達は造形をライフワークとして活動しています。

リアリティを追求する情熱、想像を形にする面白さ、自分の中にはしまっておけない個性、それぞれにおいて生涯を通して楽しみたいという心が造形の上達を邁進させていくのです。

上達の鍵となるのは自分が本当に楽しいと思うことから広がっていくと思っております。

 

それでは! ーGoushiー