ポリへドロンマンをアートとして作品化しました!
去年のことなのですが造形仲間のお誘いでアートギャラリーのグループ展に参加する機会がありました。
会場は東京日本橋にある「27Gallery Tokyo」というところ。
ここではギャラリーの1周年記念として27人のアート作家によるグループ展という
形で入れ替わり数ヶ月に渡っての展示&販売が行われました。
そしてこの展示を機にポリへドロンマンをアートデビューさせることが出来ました。
展示することが決まってから3ヶ月ほどあったのでどんなものにしようか色々とアイデアを練り写真のような形になりました。
アートとして作るのにまず念頭においたことはビジュアルとコンセプトがバランスよく組み立てられないかなということでした。
コンセプトが凄くてもやはりビジュアルもそれなりにないと
鑑賞する心地良さが無くなってしまうのでここだけは避けて通りたくないと思っていました。
もちろんその逆も然りです。
そしてビジュアルとコンセプトの他、私自身の今までに培ってきた特殊メイクの世界、
趣向などをポリへドロンマンにミックスさせて作りました。
アート化について細かいことは後ほど書いていきたいと思います。
早速作写真からご紹介していきたいと思います。
Monolith the MONSTER.

Jinjya Green ver.




後ろ側が蓋になっていてポリへドロンマンの顔を取り出せるようになっています。
次は別カラーverです。

Depth Copper ver.



以上です。

この作品を作る上でアートとはどういうものなのかということをいろいろ考えました。
まずアート作品は広義の意味では極論自由だとは思っています。
しかし私がこういった活動をしている源として私自身が目で見て気持ちの良いモノを目指した方向性を探しています。
世の中には自分の好みと合う方がどれくらいいるのか分かりませんが、少しでも共感し合えたなら本当に幸いです。
ここからはさらに私が「アートってこんな感じのものが良い」という自論を書いていきたいと思います。
アート自論
パーソナリティー
ビジュアル
コンセプト
主にこの3大要素が入っていることで作品に魅力に感じられるエネルギーを込めることが出来ると思っています。
パーソナリティーについて
まずアート作品にはその作者だけのパーソナルなことが詰め込まれていることが最重要だと思っています。
パーソナルなものというのは、
その人が今まで生きてきた軌跡(作者自身の経験や趣向、自然にベクトルが向いてしまうこと)が反映されていること。
それが作品の個性として他の人では再現不可能な魅力になると感じています。
作品にはその軌跡の一部だけの反映でも問題はありませんが、可能であれば複数の個性が上手く折り重なり合っているとさらに見応えが出来、作品の強度と複雑性が増し、より作者を表す奥行きのある作品になると考えます。
作者のパーソナルは鑑賞者の好みとマッチするかどうかがかなりギャンブルみたいなものですがこの辺りはどうしても好みで分かれてしまうので仕方のないことだと思っています。
ビジュアルについて
ここで言うビジュアルについては観る人の好み次第とも言えるのですが、
私的にはビジュアルの良さにはしっかりとした階層があると思っています。
私のように造形を職としているような場合、安直に技術的クオリティーの高いものをアート作品にすることは特に注意が必要と考えています。
よく陥りがちなもので言うと、リアルすぎたり、形が精密(具象)すぎたり、造形フィギュアなどがこれに当てはまっていると感じています。
一見すると初見のインパクトは良くわかりやすい印象を受けますが、コンセプトがビジュアルに喰われてしまいビジュアルだけのものになりがちになってしまいます。
ビジュアルの強度はケレン味を使いすぎている場合にも注意が必要です。
ケレン味は丁度良いくらいに抑えながら作る必要があります。(その丁度良さは作品それぞれで異なります)
私の中ではこのような精巧で具象的な作品(特殊造形、フィギュアなど)はいわゆるアートというジャンルではなく、フィギュアや工芸部門みたいな方にカテゴライズされると思っています。
もちろんコンセプトの見せ方が強く現代アートになっている作品もありますが。
ではアートのビジュアルはどういうものが適していると考えるかというと、
やはり『空間(建物内)に似合うフォルム』になっていることが大前提だと思っています。(今回はディスプレイ系のアートに限ります)
似合うかどうかは単純に建物自体も簡単な図形の形なのでその図形よりも形が遥かに多過ぎてしまうとガチャガチャした印象になります。
ここももしかするとただの好みと言われてしまえばそれで終わってしまうのですが
空間には色も含めシンプルイズベストに近い形ほど馴染みやすいと思います。
ただ、作品にもよりますが私的にシンプル過ぎると目の抱擁が少なくなってしまうので、
形が多くなり過ぎないようなシンプルさ、高い技術が主張せず秘めているもの、それらを上手く構成させたものこそ素晴らしいアート作品になりうると考えています。
今はその構成力の技術に一番惹かれています。

次はどんな素材で作られているか。
私は魅力ある作品は「ものとして良いもの」と私は考えています。
「ものとして良い」とはそのもの自体の存在感を感じられるものと言いますか、
なかなか言葉では表現しきれないところがありますが、
その存在感を生む要素を書いていきます。
現状はまだこの4つだけが明確にしっくりきている要素です。
・質感 (素材そのものの質感、研磨した質感など)
・質量 (単純だけど重い方が良く見え、重さはなぜか目でも認識出来る)
・材質 (なるべく自然界にあるもので劣化しづらいもの、特に金属や石、木など)
・構成 (気持ちの良い配置のポイントがあり、それが人を魅了する)
私は特殊造形業界にいるので、普段ケミカルな素材ばかりで作ることが多いですが、
今回のこのモノリスは鉱石と金属を含んだ素材で制作しています。
やはり、ケミカル樹脂(プラスティック)だけで作るより素材感が増し、ものとしての良さが生まれました。
もちろんどんなもので作られていたとしてもアート作品については所持したいと思った人が良いと思えばなんでもOKだと思いますが、
私的にはいろんな方向性から上位を目指したものを見てみたいと思っているので安易に自由な素材で作ることは「もの」としてのクオリティーの低下に繋がると考えています。
コンセプトについて
コンセプトについては私はまだビジュアル面よりも多くを経験しているわけではありませんのでまだ開拓途中としてお読み頂ければと思います。
作品にはコンセプトはそこまで無くても、良いビジュアルが構成出来ていれば作品として成立しているものもよくあると思います。
アートの中で特に現代アートの業界ではこのコンセプトが非常に大事な要素になっていることをよく感じます。
コンセプトの目的はアートを媒介にして主張や概念を提案、提起するようなことだと思っています。
そこには一般的なメッセージ性からマイノリティーなことまで幅広いものがありますが、テーマが大規模すぎると一歩引いてしまったりすることがあるので、まだあまり脚光を浴びていないけど魅力的なことや、単に身近なこと、趣味や学術的なことを深掘った先の何かを提示出来れば十分良いのかなと考えています。
コンセプトは無理やり考えて作るのではなく、パーソナリティーと組み合わせて作者が普段考えてしまうこと、自然にベクトルがいくものが説得力のあるものになるのではと思っています。
というような形で自論を展開してみました。
かなりシンプルにまとめますと、
その作者が歩んできた経験が生きたアイデアである個性と、目の抱擁があるビジュアル(見た目)、そして共感性を派生させるコンセプト(考えや意図)をバランス良く構成させたものこそが最上のアート作品であると現時点での方向としています。
今作のMonolith the MONSTERはこのような自論を元に作ったアートになっております。
画像にはなりますがじっくり観て頂き、いろんな箇所に込めた要素を楽しんで頂けたら嬉しいです。
もし現物鑑賞をご希望の場合は現在27Gallery Tokyoにてショーケースで展示&販売を行っています。
ご興味ありましたら是非お立ち寄り下さい。

それでは皆さま、良い造形ライフを! ーGoushiー
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