ジェスモナイトはポリエステルレジンに代わる救世主!?

Jesmonite

特殊造形業界以外にも様々な造形界でも最も使用されてるもの、

 

ポリエステルレジン(ポリエステル樹脂)

 

このレジンは型取りや成形などいろんな用途に応用出来て丈夫な素材ゆえ、

業界では無くてはならない存在になっております。

 

そんなポリエステルレジンではありますが、

使用するには何かと厄介な点もあり、

これに置き換えられる素材をずっと探し続けていました。

 

そして今回は、

水性の樹脂であるジェスモナイトという素材の実験になっております。

 

はじめに結果をお伝えしますと、

型作りにおいてサイズと補強を間違えなければ問題なくポリエステルレジンの代わりを果たすことが可能です!

 

 

ではまず比較としてポリエステルレジンのことから簡単に説明を挟みます。

 

ポリエステルレジン

 

ポリエステルレジンの利点といえば、、、

 

・安価

・軽量

・作業が効率的

・弾性があるので割れにくく頑丈

・素材の粘度が自由なため成形にも向いている

・透明色なので成形は何色にでも可能

 

と、これだけの利点があれば本当に最強の造形素材ですよね。

 

しかし、良い部分が飛び抜けているということは重大な欠点もあるということです。

何でもそうですが世界は何かしらのプラスとマイナスの共存関係で出来ていると思っていますので、

こういうわかりやすいものに会った時はより実感してしまいます。

 

 

ポリエステルレジンの欠点ですが、、、

 

・硬化時に有毒ガスの発生

・臭気

・アレルギー反応(液状体)

・FRPを作る際のガラスマット飛散問題

・収縮率が大きく、歪みが出る

・防毒マスク、ゴム手袋、作業着着用、換気必須

 

と、ネットなどでも色々怖いことが書かれていたりします。

アレルギーが出てしまった場合は難しい問題ですが、

作業環境や防毒マスクなどの準備さえあればクリアすることは可能です。

 

ガラスマット問題については私はエマルジョンマットでほぼほぼ解決です。

glass fiber

FRP ガラスマットの種類と用途

2019年1月28日

 

 

ポリエステルレジンは型取りにも成形にも本当に便利で効率の良いものですが、

このなかなか重たい欠点のため、初めて扱う方には敬遠されがちになっています。

 

弊社運営のスクールでも、

臭気的問題で立地の都合上カリキュラムからポリエステルレジンの扱いを限りなく制限していました。

(今後は場所が変わるので制作の幅もUPします。)

 

 

 

ジェスモナイトという水性樹脂

 

ジェスモナイト

 

こちらがそのジェスモナイトという水性樹脂です。

水性樹脂というのは何年か前に知っていましたが、

ようやく使えるとなり久しぶりに期待感と嬉しさが高まります。

 

素材自体はアクリル樹脂と反応性ミネラルベースの複合マテリアルと表記がありました。

一番の注目はやはり、

人体と環境に優しい・VOC・有機溶剤フリー・BS不燃認定 ですね!

 

用途的には造形作品から建築装飾と色々活用出来るとのこと。

 

実際に硬化させてみると、

石膏のような、石調のような質感と見た目です。

 

こちらがベース(粉状)

ジェスモナイト

 

こちらがリキッドの2液混合素材です。

ジェスモナイト

 

今回は2種類のものを購入しまして、

AC100は多用途タイプで、

AC200はマスターモデル制作用にある程度の硬度を保ちながら、加工、切削がしやすいモデルのようです。

 

ということで、AC200の方が傷、欠けが出やすいので私の用途はAC100で決まりです。

値段もAC100の方が少しお安めです。

 

 

ジェスモナイト補強実験(FRP化)

実験

 

まずはベースの粉です。

AC100の場合、ベース 2.5:リキッド 1 です。

ベース

 

 

粉と液体は本当は少しづつ混ぜるものですが、

ゆくゆくはどうせ面倒になりドカっと混ぜるので初めから横着に全量混ぜてしまいます。

そういう実験でもありマス。

アクリル

 

 

最初は割り箸で混ぜていましたがダマが結構残るので、

インパクト用の攪拌ミキサーで混ぜ合わせました。

ジェスモナイト

 

 

今回は3種類の強度実験です。

左から、

ジェスモナイトのみ、エマルジョンマット3層(レジン用)、サイザル又はスタッフ2層(石膏用補強材)。

ジェスモナイト用の補強材もありますが、形を簡単に変えられるレジン用を使用しています。

実験

 

 

補強材への浸透はすごくスムーズでストレスなく含浸出来ました。

間をおかず一気に層も重ねたので作業時間も短いです。

FRP

 

 

質感は石膏に近いですが、触ってみるとしっかりとした表面でボロボロした感じもベタつきもなく良い感じです。

FRP

 

 

ジェスモナイト補強結果

結論

 

まずジェスモナイトのみでは簡単にパキっと割れてしまいました。

レジンに比べて弾性はやはり劣るので補強はしっかりしないといけないですね。

ただ、サイズによりますが一定の厚みになるとかなりの強度があるのでキャスティング成形には問題ないかと思います。

少しドロっとしているので脱泡機などは必要ですが。

石膏

 

 

次に期待のガラスマット補強です。

3層でこの厚みですが、

大きい型サイズは追加補強が必要かもですが、

人の頭部くらいであれば問題なく使用出来る程の強度に達しました。

この前に2層でも試しましたが少し不安が残る強度。

FRP

 

最後はサイザルです。

これは見ての通り厚みもありますので、強度は全く問題ないです、かなり頑丈。

ただここまでやってしまうと重たくなるので部分的な追加補強ですね。

ジェスモナイト

 

ボルトで固定し、ガッチリ締めてもヒビ割れも欠けも無く良さそうです。

ボルト

 

 

さらにテスト。

これはうちでよく扱うサイズでどうか実際に試してみました。

大体40センチ × 40センチの型のジャケットです。

造形

このサイズで使用した分量は、

ベース875グラム、リキッド350グラムです、ガラスマット3層。

ポリエステルレジンよりも硬化が早いので慣れていないとこのサイズでも少し大変かもしれません。

 

ここで盲点だったのはポリエステルレジンよりも粘度が高いので使用分量が多くなってしまうということです。

おそらくポリエステルレジンの場合は500グラムほどあれば3層いけますね。

 

硬化後、触って強度をみましたがガラスマットを2層にしても良さそうな感覚はあります。

ジェスモナイトのちょっとした厚みの違いで結構強度が変わるということかもしれません。

ここは何度か経験してちょうど良い具合を探るしかありませんね。

 

 

ジェスモナイトとポリエステルレジンのコスト比較

お金

 

ジェスモナイトはいくつかのセットがあり大量に購入するとキロ単価が抑えられます。

・AC100

3.5キロセット➡︎ 4752円(キロ単価 約1360円)

35キロセット➡︎ 31644円(キロ単価 904円)

70キロセット➡︎ 58320円(キロ単価 833円)

 

少量での購入は結構高くなってしまいますが35キロセット以上だとかなり安価で入手出来ますね。

 

ちなみにポリエステルレジンは、

20キロ一斗缶 約9400円 (キロ単価470円)

硬化材は別途

やはり安いですね・・・。

 

この値段の差は数字では大きくはありますが、

作業ストレスと健康面を補助するお値段とするならば高くはないのでと思っております。

 

しばらくはポリエステルレジンの使用量を抑え、適度なサイズの型はジェスモナイトに置き換えて数ヶ月試すことになりそうです。

 

曼荼羅

 

最後に、ジェスモナイトの個人的に感じた特徴を書いておきます。

 

・作業をするにあたり、人体に優しい

・環境を選ばず手軽に作業可能

・硬化が早くて効率的な作業が可能

・FRP構造も制作可能

・水性なので溶剤の準備が要らない

・厚みと補強によって強度の調節が容易

・作業性抜群 

・キロ単価では少し高価ではあるが、溶剤や防毒装備、環境準備などの費用が省ける

それを考えると決して高い素材ではありませんね。

特に防毒マスクの吸収缶を費用に加えるとなかなか高価になってきますよね。

 

以上です。

 

 

 

この素材のような、造形界の健康維持を保てる素材が出てくれることをとても嬉しく思っています。

 

 

それでは、良い造形ライフを! ーGoushiー

 

 

Jesmonite

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