Kazu Hiro 氏による 特殊メイク 特別講義

特殊メイク

非常にご無沙汰しておりました。

未だに文字起こしに慣れませんがまだまだこのブログは続けてみようと思います。

 

3月頃から仕事の増量と新しいアート制作の開始、そしてそれ以外の時間も色々と動いておりブログが止まってしまいました(^^;

そしてこれからもやりたいことが多くなってきているのでブログの更新が遅くなりますが、

たまにフラッと立ち寄って読んで頂けると嬉しく思います。

宜しくお願い致します!

 

 

今回の記事ですが、

弊社運営の特殊メイク造形スクール特別講義の内容をご紹介していきたいと思います。

SNSの方ではすでに何枚か写真をアップしましたが、さらに別の写真でも紹介していきます。

6月末にアメリカからKazu Hiro氏に来て頂き、

生徒向けに特殊メイクのデモンストレーションを行いました。

 

 

こちらが Amazing School JUR です。

スクール

東京の秋葉原と御茶ノ水の間あたりにございます。

が、この度8月に引っ越します!

またその際は紹介していきますね。

 

 

特殊メイク界のスーパーリアリスト KAZU HIRO 氏

Kazuhiro画像元 Kazu Studios

 

弊社スクールでは毎年恒例にさせて頂いているKazu Hiro氏による貴重な特別講義です。

Kazu Hiro氏は昨年、

映画「ウィンストン・チャーチル」の特殊メイクでアカデミー賞を受賞され、

さらに有名になられました。

業界では、特殊メイク界のスーパーリアリティ追求のロールモデルになっているとてもレジェンドなお方です。

現在は業界から離れ、現代アート制作の活動をされています。

 

KAZU HIRO氏のウェブサイトはこちら ▶︎ KAZU Studios

 

 

私個人としてのKazuさんとの出会いは12年ほど前、

メンターである恩師と共にロサンゼルスへ特殊メイク旅行に行った時でした。

勿論学生だった頃からKazuさんのことは知っていて、

いざお会い出来ることになった当時は今までにないほどワクワクと緊張でした。

 

 

Kazuさんのリアルな胸像アートは現代アートでいうと、

ハイパーリアリズムアートと呼ばれるジャンルになるそうです。

(間違っていたらご指摘を。)

 

私も最近現代アートについて勉強中ですが、

知れば知るほどジャンルが多く、

アーティストの数だけジャンルがあるのではないかと思うほどです。

その点ハイパーリアリズムアートはまだわかり易いジャンルなのかなと思っています。

 

 

ハイパーリアリズムの作品には近年いろんな作品がありますが、

やはり第一線でリアリティのあらゆる方向から研究をされていたKAZUさんの作品は群を抜いているように思います。

 

リアリティ表現を追求していくと、

人間でも生物はやはりどこか生々しく少し気持ち悪い形や色などがあり、

造形物をリアルに見せるにはその生々しさやグロテスクさと言った気持ち悪い方向の要素を使用するのが一番簡単な表現方法です。

 

しかし安易にその表現方法に頼ってしまうと、作品に不衛生さが出てしまい一般的にも受け入れ難いものになってしまいます。

勿論これもアーティストのスタイルではありますが。

 

 

KAZUさんの到達したスタイルには、見方によってはマイナスに見えてしまう不衛生さが無く、

人間の持つ美しいフォルムを最大限生かして制作されているように感じます。

 

そして私個人的に感じる最大の魅力は人物の表情による存在感全体のフォルムによる佇まいにあります。

 

Kazuさんの表現には、

人間本来の持つフォルムの美しさと形の凹凸による陰影の美しさが追求されており、

その選択した表情から感じ取れる雰囲気と佇まいは時を忘れて魅入ってしまいます。

まさにこれこそ魂の篭った一品です。

凝が使えれば見えるはずですね。

 

そして、技術的なところも勿論ではありますが、

私にはその人物への礼賛と敬意がとても感じられます。

 

これはただその人の形を正確にそのまま作れば良いというわけでは無く、

その人物を徹底的に知り得る限りを尽くした結果が内側にも反映されているのではと思っています。

 

そのリアリティと様々な要素における拘りの表現によってハイパーリアリズム世界の中でも特に抜きん出ているのではと私は思います。

 

と、

生意気にも私なりに現在までの経験値で感じたことを書いてみました。

またいろんな経験を踏むことでさらに詰め込まれたものが感じ取れるかも知れません。

 

うーん、富豪であれば家に飾りたいですね。

 

 

シリコーン人工皮膚を使った超絶 特殊メイク デモンストレーション

 

特殊メイクをいかにリアルに仕上げるかで欠かせない素材が「シリコーン」という素材になります。

映画で初めて?使用されたのはメン・イン・ブラック1のゴキブリ男エドガーの特殊メイクだそうです。

これは当時アメリカに移住した直後にKazuさんがリックベイカーのスタジオで担当された仕事だったそうです。

 

そして現在リアリティ表現に一番良いこのシリコーンでの特殊メイクの安定した制作方法を編み出したのは、

なんとKazuさんなのです。

いやはや恐ろしいですね・・・笑。

 

 

こちらは講義の様子です。

スクール

 

特殊メイクは様々な材料、たくさんのメイクアップ用品を使いますので、

机の上はいつも大変です。

材料

 

 

ステップ①   人工皮膚を貼り付ける

 

まずはシリコーン製人工皮膚を貼り付ける前に髪の毛を隠すため、

ボールドキャップというゴム、又はプラスティック製の水泳キャップのようなものを被せます。

特殊メイク

 

ボールドキャップの色をモデルさんの肌色に合わせた後、

人工皮膚を貼っていきます。

特殊メイク

今回はわかり易いように顔半分が歳を取った老化の特殊メイクになります。

写真の貼り付け部分は目の下〜首元までの人工皮膚を貼っているところです。

 

特殊メイク用人工皮膚はかなり柔らかく伸びる素材ですので、

モデルさんの正確な位置に貼り付けるのがとても難しいのです。

 

こちらが貼り付けた状態です。

まだ色を塗っていないにも関わらず、人工皮膚の境界線が綺麗に馴染んでいます。

特殊メイク

 

首の垂れた皮膚もすごく自然でリアルですね。

勉強になります。

下唇〜アゴまでの人工皮膚も貼り付け完了です。

特殊メイク

 

 

そして最後の目〜頭頂部までの人工皮膚が貼られました。

この横顔だけで見ると元からこんな形だったかのように思えます。

シリコーン

 

貼り付け完了!

特殊メイク

 

 

ステップ②  リアルな肌になるよう色付けをしていく

 

エアブラシや色々な筆を使用して細かな肌のムラを再現していきます。

特殊メイク業界ではスパッタリングという手法が有名ですね。

塗装

 

特殊メイクで使用する塗料は全て、人体に使っても良いように作られたものになっています。

ボディペイント用のものと似た素材であり、液状なのでいろんな塗装表現が可能です。

 

 

ある程度塗装が完了した段階です。

この写真は眉毛も付いていますね。

特殊メイク用のフェイク眉毛は極小のレース素材に毛を編み込んだ手間のかかったパーツです。

塗装

 

正面から左右を比べてみると面白いです。

こうして見ると歳を取ると顔の変化はどうなるのかが分かり易いですよね。

特殊メイク

 

画像がちょっと荒くて申し訳ないですが、

実際に見ても人工皮膚の境い目は馴染みすぎて不思議な感覚になります。

私も特殊メイクをしていてこの馴染ませる作業が上手くいった時は本当に気持ちが良くなりますね。

色

いやしかしリアルですね・・・、特にこの質感は素晴らしいです。

 

 

ステップ③   仕上げ〜ヘアピース

 

塗装が完了してカツラを取り付け全体のバランスを調整していきます。

特殊メイク

 

こちらはモデルさんに少し表情を付けてもらっている写真です。

特殊メイクの人工皮膚は本人の顔に合わせて表情が連動するように作っていきます。

動画はないですが、動いた時の表情変化は見ていて不思議な感覚になります。

Specialmakeup

 

特殊メイクを施した横顔の写真。

こう見ると完全にご老人です。

special effects

 

 

 

最後に何でも質問コーナーを設けて頂き、色々なことを聞かせて頂きました。

質問

 

ものづくりをする上で大事なことはやはり魔法のような技は無く、

一つ一つ着実に理論的に積み上げていくことで自然と魔法に見える結果が生まれるということを、

毎度実感します。

Kazuさんの技はその理論的にトライする量が他よりもはるかに多いことで生み出された結果なのだろうと感じました。

(勿論他の要素もありますが。)

そして細かいことでもトライすることを面倒に思わないことも大切ですね。

そんなところ気にするんですね!ということから一つ一つ着実に。

 

 

毎年恒例の特別講義、生徒よりも講師である私の方が得られるものの量は負けていられません。笑

 

 

それでは、良い造形ライフを! ーGoushiー

 

 

 

特殊メイク

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