特殊メイク・特殊造形でよく使用する3種類の型取り材料

材料

特殊造形を行う上で 型取り という作業はとても大事な工程になります。

型取り に失敗してしまうとせっかく作った粘土彫刻原型も台無しになる可能性があるのです。

なので原型を細かく造形することと同じくらい神経質に作業をしていかないといけません。

 

海外での造形業界では仕事を分業で行うことが多く、 型取り だけを専門に仕事をされている方もいます。

分業制ではその分野だけを突き詰められるということもあり早い段階でスペシャリストになれる可能性がありますね。

日本ではまだまだ商業規模の関係で分業制は難しいので、造形を行う際は個々で 型取り の技術を高める必要があります。

 

型取り に使用する材料も様々で、会社でもその全てを試したことが無いほど沢山あります。

その中でもやはり使いやすいものとそうでないもの、ニッチなもの沢山あります。

毎年新しい商品が出てきますので、実際に使ってみて検証するというのを繰り返してレギュラー材料リストを更新していきます。

 

それでは今回、特殊メイクや特殊造形でよく使用している 型取り 材料についてご紹介していきたいと思います。

 

 

 

石膏 ー Plaster ー

石膏

石膏というとどこかで聞いたことのある材料ではないでしょうか?

身近なところでは建築材や歯科医療の歯型、ギプス包帯などよく使われていますね。

 

石膏を簡単に説明すると、

粉末石膏と水を混ぜ合わせると化学反応による硬化で形になる材料 ということになります。

 

特殊造形の型取りで使用する石膏は、購入時は粉末状で売っています。

粉末石膏と水の混合割合は商品によって様々ですが、

特殊造形業界ではイレギュラーな目的が多いのでその都度割合が変わります。

割合よりも混ぜて溶いた後の流動性で判断しながら使用していきます。

 

固まった石膏は削ったり加工しやすい石材のようなものと想像して頂くと良いです。

ですが、石膏は強度に欠けるので使い方に注意する必要があります。

特に細かい形などは衝撃にとても弱いので、彫刻原型によっては他の 型取り 材料を選択することも出てきます。

 

そんなデメリットの多い石膏ではありますが、

特殊メイクのラバー製人口皮膚を作る際には石膏での型が優れています。

石膏は型内の様々な成分を外に出せる構造になっているので、水分など揮発されないといけないラバー材料に適しています。

水溶性なので体への影響もほとんど無く、作業も簡単で扱いやすい 材料 となります。

 

歯型

歯科医療でもよく使用されていますね。

 

ちなみに、

石膏は英語表記が「Plaster プラスター」だと思っていましたが、「Gypsum ジプサム」という表記もあるのですね。

今更ですが、、、笑

少し調べてみると Plaster はヨーロッパから、Gypsum はアメリカからとありました。

プラスターは元々イギリス英語なのでしょうか。

イギリスでプラスターは絆創膏という意味もあるそうですね。

日本の石膏商品の中にもジプストーンというものがありますがこれはまさにジプサム由来なのですね。

 

 

 

シリコーン ーSiliconeー

シリコン

続いてはシリコーンという材料です。

 

最初に、

似た言葉でシリコンというものも存在します。

 

両者の違いは、

シリコン(Silicon)は自然に存在するケイ素と言われる元素であり、シリコーン(Silicone)はケイ素を元に合成された化合物です。

ですがあまり気にする人はいないので造形業界で話すときは「シリコン」と呼んでいますね。笑

 

シリコーンは型取り 材料 の中で総合的に優れており一番よく使用されているのではと思います。

もちろん目的により使えない時もありますが、大体のものが 型取り 可能です。

 

 

ホームセンターで売っているシリコーンコーキングも同じ材料に当たります。

ですがこちらは型取り用では無いので要注意です。

 

型取り

積層での型取り。

 

 

シリコーンには、1液性、2液性とあります。

1液性は硬化剤が既に混合された状態でパッケージされたものです。

なので容器から出したときから硬化が始まります。

2液性は硬化剤を混ぜることで反応が起こり硬化するものになります。

 

2液性では更に縮合型付加型に分かれています。

その2タイプの違いを簡単に説明すると、

 

縮合型

店頭などでよく販売されているのはこのタイプが多いと思います。

付加型よりも扱いが簡単で室内が常温くらいであれば問題なく硬化します。

硬化する際にガスとして抜けていく成分があるため、その分収縮率に影響が出てしまいます。(ごく僅かですが。)

 

付加型

硬化後の収縮率がほとんど無く、精密な型を作ることが出来ます。

縮合型に比べて扱いには注意が必要で、硬化阻害を起こす材料が多いです。

室内の温度にも影響するのでなるべく設定されている温度内で使用することをおすすめします。

熱を与えることで硬化を早めたり、強度を上げたり出来る性質もあります。

今まで硬化不良を起こしたものは、

ラテックス手袋、硫黄成分、ポリエステル樹脂(場合により)、グルーガンなどがありますのでご注意を。

 

 

型取り

Amazing School JUR シリコーンを積層での型取り方レクチャー。

 

 

シリコーンによって強度はそれぞれなのですが、耐久性に優れているのは付加型に多いように感じます。

縮合型では昨年から登場したKDKトレーディングさんの「IS-CRN」というシリコーンが耐久性に優れとても良いですね。

 

二つのタイプで強度について大きな違いは、

縮合型の硬化する様子は隣同士の原子が握手した状態、

付加型は隣同士が完全に融合した状態という風な違いがあり、

そのため付加型の方が強度に優れたものが多くなっています。

 

シリコーンの使用は強度だけではなく粘度(流動性)を判断しながら目的に応じて選択する必要があります。

購入する際は必ずデータシートを参考にして決めていくと良いと思います。

 

 

 

樹脂 ーResinー

樹脂

シリコーンに続いてよく使用するのがこの樹脂系の材料になります。

ひとえに樹脂と言っても様々な種類の樹脂があります。

ここではその中でも使用頻度の高い3種類の樹脂について紹介していきます。

 

ポリエステル樹脂 (Polyester Resin)

一番ポピュラーで扱いやすい樹脂で、ホームセンターでも購入することが出来ます。

硬化剤(主にパーメック)を混ぜることで硬化していきます。

樹脂全般に言えることですが、

使用する際は体に悪い成分が発生するので防毒マスクの着用と換気が大切になります。

 

樹脂は判りやすく言い換えると「プラスティック」のことです。

樹脂の良いところは安い、軽い、薄い、丈夫、しなりにも強い 型取り に適した材料です。

 

使い方は主に、ガラスマットと呼ばれるガラス繊維と組み合わせて形成していきます。

樹脂とガラス繊維の複合物を「FRP( Fiber Reinforced Plastics 繊維で強化されたプラスティック)」と呼びます。

 

ポリエステル樹脂はメリットも多い代わりに重大な欠点もあります。

硬化後の収縮率が他の材料に比べてはるかに高いことです。

目に見えて分かるほど収縮による変形が起こりやすいので目的によっては要注意です。

それと結構臭いです。

 

FRPポリエステル樹脂での型。

 

 

エポキシ樹脂 (Epoxy Resin)

エポキシ樹脂の特徴は硬化後の収縮がほとんど無く、精密な形を形成することに向いています。

代わりに扱いづらい部分もあり、硬化時間が結構かかり、値段も高価です。

ものによっては完全硬化まで24時間以上かかるタイプもあります。

ここぞというときにエポキシ樹脂は使用しています。

 

 

ウレタン樹脂 (Urethane Resin)

ウレタン樹脂は硬化剤の混合比率を調整することで硬化後の硬度を自由に変えられる特徴があります。(ものによります)

一般的に有名なウレタン樹脂は「レジンキャスト」と呼ばれているフィギュア、ガレージキットなどを成形する材料がありますね。

 

ウレタン樹脂については 型取り にあまり使わないのですが一応書いておきたいと思います。

型取り に使用できる商品もあるのですが温度変化に弱い特徴があるので注意が必要になります。

例えばウレタン樹脂で形成した型に熱を加えると樹脂自体に変形が起こります。

何年か前にこれで型が駄目になってしまったことがあります。笑

ウレタン樹脂は成形品としてはとてもよく使われています。

 

樹脂

ウレタン樹脂は硬化阻害になりにくいので、

特殊メイクパーツを作る上ではよく使用します。

 

 

 

型取り材料はその後の工程も考えた上で選択する

 

石膏、シリコーン、樹脂と紹介しましたがまだまだ他にも 型取り 材料は存在します。

ちなみに特殊メイクにおいて、顔の 型取り に使用するものは「アルジネイト(アルギン酸塩印象材)」と言います。

型取り

歯医者で歯の型取りをする材料と同じものです。

最近ではシリコーン性の 型取り材料を使うことも増えてきました。

 

 

色々な 型取り 材料がありますがやはり肝心なのは、

その製品の特性をしっかりと把握して目的ごとに使用することが大事になります。

何も考えず選んでしまうとその後の工程で行き詰まってしまい、

最悪一からやり直しになる場合もありますのでよく考慮した上での使用をお勧めします。

もし不明な部分がある場合は私が知っている範囲ではありますがご回答致します。

 

今回はこの辺りで。

それでは、良い造形ライフを! ーGoushiー

材料

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