芸術を探究【10】ポップ要素を意識して作品を作る

ポップアート

 

【アートチャレンジ10話】

 

前回はポップアートを知ることでいろいろなことを学ぶことが出来ました。

 

その大きな一つが大衆性というキーワードです。

 

ポップアートは一見難しい芸術表現に見えましたが、

整理すると実は”誰しもに受け入れやすいもの”で、

あまり裏を考えないで受け取っても良いということを感じました。

 

音楽で言うところのクラシックではなく、Jポップの位置のようなものです。

 

鑑賞方法の難しいアートがしばらく続いた先に起こった概念の破壊はわかりやすいアートへ移行しようとします。

 

今回は「9話」の続きのつもりだったのですが、

一旦作品紹介を挟みたいと思います。

 

造形界にとって「守・破・離」って何だろう

 

アートだけでなく色々な事柄にも共通しますがムーブメントというものは、

絶えず「変化」し続けることでその文化が進化し、新しい価値観や空気感などが生まれていきます。

この空気感のせいで文脈が読みづらくなったりします。

 

一つの流行りや新しいムーブメントが生まれると、

人はそれに対して「流れに乗る」利用者が現れ、

かと思えば「飽き」という倦怠期がやって来て、

もしくは独自路線を走りたい「対抗」するものが現れ、

最終的には「破壊と構築」が成されます。

 

この一連の流れを「文化の進化」と捉えてはいるのですが、

もし「飽きる」という能力が無かったら人間の世界はどうなってしまうのだろうとよく考えます。

飽きが来ない方が幸せかもしれませんよね。

 

アートの世界にも飽きがなければ未だに100年前の美術が作り続けられていて、

多くの人の活躍の場が有ったかもしれません。

もちろん、「対抗」や「破壊と構築」をする派閥も同時存在する形で。

 

この一連の流れは私の造形作業の中でも起こります。

このやり方で、このスタイルで、と決めたすぐは調子が良いのですが、

段々と「飽き」が来て、別の何かを加えたり違うことを取り入れていかないと

精神的に進めなくなっていきます。

 

 

アートだけなく「進化」とは以前の流れに対して階層を変えて「対極」を探すことだとも思っています。

 

私の働く自由廊アトリエのエレベーター内には「守・破・離」と書かれています。

私自身でも生きているうちに小さくても「離」に到達出来るように日々考えていますが、

現時点では数あるムーブメントの中の「流れに乗る」部分を一旦見習ってみようと試みている段階です。

 

その中でも未だ人気のポップアートの要素が面白そうだなと感じています。

 

特に日本で活動していくには小難しいアートはなかなか浸透しづらく、かなりの鉄壁です。

(本当はかなり好きな分野ですが提案側になる勇気が無いので今は観る専です)

 

私が思う日本でブームになったり好まれるものには、

完成させすぎているものや、真面目すぎるものは少ないように感じています。

 

日本は正統なものより、結局サブカルの方が良いのではないか。

 

最近その界隈ではブームが起こっている「ソフビ」、「アートトイ」、

言い方は分かりませんが、こちらも日本生まれの希有なジャンルです。

しかも造形界。

 

ソフビの流れは来ているらしいので今後どう発展していくのか期待ですね。

 

 

ポップアートの要素を入れてみる

 

少し前の作品にはなるのですが、

このポップアートの要素を入れて制作してみた作品をご紹介したいと思います。

 

今までポップとはかけ離れ過ぎた作品ばかり作っていたので、正直思い切ることが難しかったです。

 

【 デカダンス ゾンビ 】3type

ゾンビ

「Innocence」

 

ゾンビ

「Bloodshed」

 

ゾンビ

「Decayed」

 

毎回作品作りは私の作りたいものが優先になりますが、

今回は枠組みから決めてここがこうならこれが合う、みたいな感じで

素材、デザインを決めていきました。

 

まず特殊メイク、特殊造形の世界では「ゾンビ」というキャラクターが一番有名であり人気のあるものの一つです。

 

ゾンビをもっとポップな形にしても良かったのですが、

造形

せっかく私自身が仕事でゾンビを実際に作っている立場もあり、

彫刻

特殊メイクは「リアルさ」が売りの部分もあり、

ゾンビ

ゾンビのデザインをリアル寄せな方向にもっていくことにしました。

 

今までは顔だけ作って完成にしていましたが、

今回は顔だけではポップさを生かしきれないので、

ポップな背景と組み合わせることにしました。

背景

これはゾンビといえば感染源になる「血の滴」をイメージしています。

血でもあり、形もポップに合います。

 

そしてその奥の背景は、私が好きなフルイドアートで作ります。

マーブル フルイド レジン

この模様はゾンビの毒々しいイメージを追加させるための背景です。

この後、サンダーで表面を平にして艶を消し綺麗に仕上げていきます。

 

 

塗装

血の滴をそれぞれの色にツルツルコーティング。

これはウレタン塗料を厚吹きしています。

 

制作

仮組みです。

こういう造形は位置合わせが意外と神経使いますよね。

 

作品

完成です!

並べるとこんな感じです。

いつか展示会をする機会があれば演出用に飾りたいですね。

 

カラーリングはあまりグロテスクにならないように色数を減らして表現しています。

 

好みの問題もありますが、彫刻の段階でまだ少しグロさが残っているかもしれません。

 

 

いざ作ってみて、ポップさを加えるということは単純に専門技術を入れ過ぎないということにも繋がります。

 

これがポップアートの全部ではありませんが、

ポップ作品の難しい部分は大衆的にわかりやすくが前提でありながら、

思想や哲学、テクニックを隠すように詰め込むことにあるのかなとも思っています。

 

ちなみにこのデカダンスゾンビーズにも見た目だけでなく、ゾンビに伴ったコンセプトを入れています。

今回もこちらの説明はせずにいきたいと思っておりますので、見えたイメージを書いて頂けると嬉しいです。

 

 

骸骨

個人的にポップアートの要素を入れて極力シンプルに作ってみましたが皆さま如何でしたでしょうか?

もしアドバイス、感想などありましたらお気軽にコメント書いてくださいね。

 

 

私が特殊メイクの世界にいるので特殊メイクの素材とアートで何か出来ないかといつも考えております。

 

やはりゾンビや、ヴァンパイアなどクリーチャー的なものは特権なので外せない素材です。

 

しかし、リアルさに寄りすぎるものは一般的にウケていないのが現状です。

 

リアルなものは観る分には面白いですが、家に飾るとなるとやはり浮いてしまいますよね

 

このあたりを最近よく意識しています。

デカダンスゾンビーズはインテリアアート性も含めて作りました。

 

ゾンビ ゾンビ

 

ゾンビ ポップ

 

ポップアート ポップ

 

 

去年制作した「ポリヘドロンマン胸像」は

顔の形を学習するためのものではありますが、

インテリアにも合うデザインになっています。

 

現在このポリヘドロンマンをさらにインテリアレベルを上げて改良をしています。

こちらはまた完成後ご紹介したいと思います。

 

ポリヘドロンシリーズもアートに昇華出来る可能性があるのではないかと感じており、

今後好評でしたらいろんなポリヘドロン × 特殊メイクを提案していきたいと構想中です。

 

ユートピア

それでは、今回はこの辺で、良い造形ライフを! ーGoushiー

 

前回の記事はこちら

アート

芸術を探究【9】現代アートの表現革命を並べていく(中編)

2020年7月13日

 

ポップアート

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